モナ・アワド「ファットガールをめぐる13の物語」
「女の子」として、「女性」として生きてきたなら、一度は誰かの視線に身体を刺され、血を流したことががあるはずだ。
自分の身体が「世界の望む美しさ」から外れている、というそれだけで、私たちは傷を負わされ、血が流れる。
この物語の場合、それは「サイズ」によってなされる。
そしてより悲しいことに、「世界の望む美しさ」を手に入れたとしても、やはり傷は癒えず、血は流れ続ける。
私たちは何を求めているの? 何を欲している??
そしてそれらは、本当に私たちが求め、欲しているものなの??
私たちはたった一人なのに、たった一人になることを、こんなに怖がっている。
「あなたはあなたらしくきれいなんだから」それを聞くたびにわたしは微笑む。ひとつしかないボートで彼女が行ってしまい、ひとり無人島にとり残されたような気分になる。わたしらしくきれいなんて嫌、ひとりは無理だ。そう伝えたい。でもだいたい何も言わない。せいぜい、ありがとうと一言返すくらいだ。