2022年06月15日

キンドレッド

オクタヴィア・E・バトラー「キンドレッド」を読む。
この小説はSFでなければならなかったこと、そして同時にそういった小説の「枠」を軽々と飛び越えていること、想像力で持って文学の土壌をこれ以上なく肥沃なものにできること、全てに息を呑む。

その多くはまだ起こっていない。
たとえば、ソジャナー・トルースはまだ奴隷なのだ。もし誰かがニューヨークにいる持ち主から彼女を買って、北部の法律が彼女を自由にする前に南部に連れてきたら、彼女は残りの生涯を綿を摘んで暮らすことになるかもしれない。そしてここメリーランドにも重要な奴隷の子が二人いた。年上の子は、タルボット群に住んでいて、1、2回名前を変えた後、フレデリック・ダグラスと呼ばれるようになるだろう。もう一人の子は、数マイル南のドーチェスター群で成長しているハリエット・ロスで、やがてハリエット・タブマンとなる。