2019年03月08日

Subsequence

なんとも美しい雑誌が創刊されました。
「Subsequence」
ホームページからお言葉をお借りすると、

世代/性別/人種/国籍その他にとらわれることなく、世界中の工芸と文化にまつわるトピックを幅広く取り上げ、また編集制作にも国内外の方々にスタッフとして参加していただく実験的なプロジェクト

だそうです。

若い頃、雑誌は知らない場所へ連れて行ってくれるドアみたいなものだった。
今はインターネットがあるから、なんだって数秒で「知る」ことが出来る。
本当に便利だし、本当に本当に助かっているのだけど、
インスタントに「知った」ことはインスタントに忘れてしまうことが多々あるし、
「知りたい」と思う前にもう情報が向こうからやってくるものだから
口を開いてただ食べ物を入れてもらっているような気持ちになる、ときがある。
特に私のような意志の弱い人間はツールをコントロールするどころか、簡単にコントロールされてしまう。
技術は進化しても、私たちの体は変わらないから(長寿になったとはいえ)、
脳みそのキャパも進化していないのに、手に取るものはなんだって早い。早い早い早いよ。

この雑誌は「早さ」とは無縁やの。丁寧に、丁寧に作られているの。ちょっと心配になるほど。
でもこの「遅さ」こそ今の私が求めているもので、安心すると同時に身が引き締まる感じで、
思い出したのは椎名林檎さんの「人生は夢だらけ」なのだったよ。

この世にあって欲しい物を作るよ
小さくて慎ましくて無くなる瞬間
こんな時代じゃあ手間暇掛けようが
掛けなかろうが終いには一緒くた
きっと違いの分かる人は居ます
そう信じて丁寧に拵えて居ましょう