2024年02月28日

水車小屋のネネ

津村記久子がいてくれて良かった、と、心から思った読書体験だった。
もう、本当に、本当に、本当に、素晴らしかった。
「日本の●●」みたいな言い方は失礼だけど、アリ・スミスの四季四部作を読んだ後に「アリ・スミスが世界にいてくれて良かった」と感じたあの時の気持ちと同じで、なんかもう、お礼しかない。
津村記久子さん、「水車小屋のネネ」を書いてくださって、本当にありがとうございます。

「律は長い間何も言えなかった。悲しいのでもうれしいのでもない感慨が、自分の喉を詰まらせていることだけが明らかだった。
 陽が落ちきる直前に、それはよかった、と律はやっと言った。本当によかった。」