2024年03月21日

ネイティヴ・サン 

リチャード・ライト「ネイティヴ・サン」、「アメリカの息子」がこのように「育つ」こと。
考えることを剥奪され、あらゆる可能性を封殺された上で、その国で生きてゆかなければならない「息子たち。」
そして当然、その「息子たち」が苦しめるのは、他の「息子たち」ではなく、同族の「娘たち」である。
1940年、つまり80年以上も前に書かれたこの本が、「今」を描いているように思えるのは、作品自体が優れているからだけではない。

「しかし、これはいつものことだった、このように逃げていくのは。ずっと前から、遅かれ早かれ、このようなことが自分の身に怒るとわかっていた。そして、ついに起きた。自分はこの白人の世界の外にいるのだと感じていたし、いまそれが本当のこととなった。」